「もっと絵が上手くなりたい!」
そう思った時に避けて通れないのが「練習」。
しかし、ただ闇雲に数をこなすだけの練習は、遠回りになりがちです。 確実に画力を伸ばすためには、「今の自分の課題」を明確にし、目的に合った練習を選ぶ必要があります。
理屈はわかるけど、そもそも自分の課題が何なのかわからない……
具体的に何をすればいいの?
今回は、そんな疑問を解決するための「効果的な練習の見つけ方」を6つの切り口で紹介します。
「作品を完成させて課題を見つける」という大原則から、初心者向けの教本の選び方、さらには私が実際にやってみて効果のあった具体的なトレーニング方法まで。
「今は何を練習すればいいんだろう?」と迷った時に役立つヒントを詰め込みました。
前回の記事(練習の効率を上げる考え方)はこちら。

大原則:作品を完成させ、課題を言語化する
効果的な練習を選ぶためには、これまでの記事で解説した通り、まず練習の目的を明確にすることが最も重要。
その「目的(解決すべき課題)」を見つけるための大前提が、「作品を一度完成させてみること」です。
作品を完成させたら、制作の過程を振り返ったり後日改めて完成品を眺めたりしてみてください。
- 修整に時間がかかったパーツはないか?
- 手間取った工程はなかったか?
- 完成後も違和感が気になるところはないか?
- 「もっとこうできたらなぁ」と不満が残るところはないか?
これらをすべて言葉にして書き出し、原因と課題を分析することで、習得すべき知識や次にやるべき練習はおのずと見えてくるはずです。

基礎練習は大事だけど、「作品を完成させる」のが先!理由はこちらの記事でも詳しく解説しています。
そもそも「完成させられない」が悩みなら
とはいえ「作品を完成させられない」「描き始めのハードルが高くて、練習でさえも腰が重い」といった悩みも、少なくないでしょう。
私自身も同じ悩みを抱えていましたが、もしかしたら「上手く描かなきゃ」や「手を抜いちゃいけない」という完璧主義に縛られているかもしれません。
丁寧さや向上心は大切ですが、前回の記事で解説した通り「満点を目指さない」心構えを持つことも、上達のためには重要です。
そのような方は「完璧主義を取り除き、絵を描くハードルを下げる」練習をやってみるのはいかかでしょうか?

印象重視の短時間練習「ジェスチャードローイング」の紹介記事。実際に3ヶ月やってみて、かなり描きはじめのハードルが下がり気楽に描けるようになったことを実感しました。
ジェスドロで「超短時間でそれらしく描くこと」に慣れてきたら、「とにかく最後まで仕上げる練習」として制作時間や工程に縛りを設けて作品を作ってみるといいですね。
また、完成させられない原因として「工程」に問題があることもあります。
「手順が明確でなく迷いが多い」「一つの工程内のタスクや修整が多すぎて終わりが見えない」など、疲れて投げ出してしまう要因が工程に隠れているかもしれません。
その場合は練習よりも先に、「事前に使うツールやブラシを決めておく」「各工程の細分化と整理」といった工程の見直しが効果的です。
「何故完成しないのか?」の原因も、言語化して分析してみてください。
「始めたばかりで何もわからない」なら、好きな絵柄の入門書から
イラストを始めてみたけれど、そもそもどう描けばいいのか何もわからない。
我流で描くことに限界を感じて勉強しようと決意したはいいが、どこから手をつけるべきなのか見当もつかず途方に暮れている……
そんな初心者の方は、まずは1冊「初心者向けのイラスト教本」を買って、気になったところや真似できそうなところからやってみるのがオススメです。
基本的な知識や初心者がつまずきがちなポイントが体系的にわかりやすく書かれているので、とりあえず読んで真似てみるだけでもある程度のレベルまでは一気に上達していけます。
課題を言語化したり自分に合った練習を自力で見つけたりするのは、考えて描くことに慣れていない初心者にはとても難しいです。まずは入門書で「上手く描けるコツ」の基本をざっくり学びましょう。
「初めの一冊」を選ぶポイント
ここで教本を選ぶポイントとして、「内容のわかりやすさ」や「知識の網羅性」と同じくらい、「その本の絵柄が好きかどうか」「読んでワクワクするかどうか」を重視してください。
なぜなら、初心者にとって最も大切なのは、「小さな成功体験」を積み上げることだからです。
いきなり難しい専門書に手を出しても、思うような絵にならず挫折してしまいがちです。
しかし、「こんな絵を描いてみたい」と思える憧れの絵柄であれば、教本の通りに真似をして描けた時に「イメージ通りの絵が描けた!」という強烈な成功体験を得られます。
この「できた!」という喜びこそが、練習を続ける最大のモチベーションになり、結果として上達を早めてくれるのです。
学ぶ段階での「我流」は上達を妨げる天敵……しかし、好きな絵柄のお手本であれば「素直に真似したい」と思えるので、我流を挟まず確実にスキルを吸収していけますね。
私にも、駆け出しの頃に「バイブル」と呼ぶほど愛用していた漫画デッサン教本がありました。
基本の見直しに活用したり、初心を思い出す拠り所となったりと、ある程度上達してからも持ち続けていた思い入れのある本です。
管理人のバイブル。著者の碧風羽先生は今でもTCGなどで人気のイラストレーター。15年以上前に出版されたものなので絵柄はやや古くなっていますが、内容は普遍的なので碧風羽先生のような絵が好きならアリ。
以下に最新の教本もいくつかピックアップしてみたので、ぜひ自分なりの「バイブル」を見つけてみてください。
基礎がロジカルにまとまっていて、とりあえずこれ一冊で脱初心者レベルまで効率的に上達していけそう。デッサンだけでなく、絵を描く際の心構えから構図やキャラデザまでとにかく網羅度が高いので、迷ったら無難にオススメ。
絵がかっこ可愛い!この絵柄で勉強してみたい!「解剖学」と聞くと難しそうですが、かなり簡略化されているので初めてでもとっつきやすいです。キャライラストにすぐに使える人体デッサン知識を身につけたい人に。
理論とか難しいのは嫌!小学生でもわかるレベルからとにかく楽しくやりたい!という超初心者向け。漫画形式の解説でキャラクターを上手く描けるコツを学べます。
最初は楽しく続けられることが第一!「初めの一冊」が物足りなくなった頃が、より専門的な教本にステップアップするタイミングと考えてOKです。
「憧れのイラスト」と見比べてみる
自分で自分の絵を見直しても、「なんとなく変だけど、どこを直せばいいのかわからない」と詰まってしまうこともありますよね。
そんな時は、憧れのイラストレーターの作品や目指している絵柄の画像を、自分の絵の隣に並べて見比べてみましょう。
いわば「理想の完成図(正解)」と「自分の解答」を並べる作業です。
自分の実力不足を突きつけられて心が痛むかもしれませんが、その分「自分に足りないもの」が一目瞭然になります。
「顔のパーツの配置」「ポーズのつけ方」「線の強弱」「配色のバランス」など、どこがどう違うのかを細かく観察し、課題を探し出してください。
見るだけではわからない場合は、「なんとなくしっくりこない」と感じる部分を意識しながら実際に「模写」をしてみると、手癖や思い込みによるズレに気付きやすいです。
自身のオリジナリティや手癖を一旦置いておき、お手本を「観察」することに徹するのが効果的な模写のコツです。
理想の絵と徹底的に比較しながら課題を洗い出し、制作と練習を繰り返す上達法。かなりハードですが効果は大。
添削サービスを活用してみる
自分で分析してみたけれど、それでも「課題の優先順位や解決方法がわからない」「行き詰まり感を打破できない」「本当に方向性が合っているか不安」と足踏み状態になってしまうこともあります。
そんな時は「自分より上手い第三者に聞いてみる」、つまりプロの添削を受けてみるのが一番の近道です。
自己流の分析ではどうしても気づけなかった「無意識の癖」や「根本的な課題」を、プロの視点で見つけ出してもらいましょう。
主な添削サービスの探し方
単発で依頼する
イラスト添削は「sessa」のような添削特化サイトや、「ココナラ」などのスキルマーケットサイトで依頼できます。
相場は1枚2000~6000円程度。どこまでしっかり添削してもらうかにもよりますが、実績あるプロほど高額になる傾向があります。
コミッションサイトの「Skeb」にも、最低500円から好きなクリエイターにアドバイスをお願いできる機能があります。
ただしあくまで「有償リクエスト」扱い。受理されて添削してもらえるかどうかは相手次第なことと、値段や仕様の交渉はできないので、確実に添削してもらいたい場合には向きません。
講座の特典を利用する
オンラインお絵描き講座「パルミー」では、6ヶ月または12ヶ月の長期プランを契約すると、プロによる添削を月1回無料で受けられます。
受講中の方はレベルチェックと併せて積極的に利用するのがオススメです。
ちなみに添削は月謝制の長期プラン受講者限定ですが、「なんでも相談」は月謝制会員でなくても利用可能。
自分に合ったオススメの講座を紹介してもらうこともできるので、非会員の方は7日間の無料お試し開始前に専門スタッフに絵を見てもらって、受ける講座を相談するのもアリです(勿論相談は無料)。
\ 無料お試しはこちらから! /


依頼時のポイント:悩みは「言語化」して伝える
添削を依頼する際は、作品データだけでなく以下の情報を添えて講師に伝えましょう。
- 作品のコンセプト
- どんな絵を描きたいか(目指すゴール)
- 自分の絵に感じている違和感や、解決したい悩み
これらを事前にできる限り言語化しておくことが、自分の知りたい答えや、的確なアドバイスを引き出すための鍵となります 。
匿名掲示板やSNS等で無料で添削を募集するのは、素人の的外れな指摘を受けて混乱する可能性があるのでオススメしません。
信頼する絵描き仲間に一言助言をもらう程度なら良いですが、しっかり上達に繋げたいなら、実力が確かな人に「有償」でお願いするのが鉄則です。
普段描かないモチーフを描いてみる
目の前の弱点克服ばかりの練習に飽きてしまった。もっと根本的なところから、効率よく上達するための力をつけたい!
それならいつものイラストから離れて、「普段あまり描かないもの・描いたことのないもの」を描いてみましょう。
カメラロールの中の風景、フリー素材サイトの画像、たまたまデスクの上にあった小物など……なんとなく目に留まって「いいな」と思ったもので構いません。
あえて「描き慣れないもの」をモチーフに選ぶことで、手癖や脳内補正(思い込み)を強制的に外し、より客観的な視点で対象を見る「観察力」が鍛えられます。
ペンとスケッチブックがあればどこでもできるので、外出先の隙間時間での練習としてもオススメです。何気ない風景を見る目も変わりますよ。
デジタルなら「カラーデッサン」がオススメ
気軽にアナログでのスケッチも良いですが、デジタル環境で練習をするなら、デジタルならではの機能を使った「カラーデッサン」が特にオススメ。
写真を見ながら、その写真の「色」をスポイト機能で拾って塗ってみてください。
「白い皿に周囲の物の色が映り込んで、青や黄色など思ったより複雑な色味になっている」「夜景での木の幹の色は、紫っぽい色なんだ!」など、自分の想像と「実際の色」のズレに驚くはずです。
これまで自分がいかに「雪は白」「葉は緑」のような、「シンボルとしての色」の思い込みで塗っていたかに気付かされます。






パルミーの講座を見ながら、実際に描いてみたカラーデッサン。遅筆管理人は1枚3時間かけてしまいましたが、「色の観察」がメインの練習なので、30分~1時間を目安にもっとラフに仕上げてOKです。
普段のイラストとは違う頭を使うので、良い気分転換にもなりますよ。ぜひ一度チャレンジしてみてください。


こちらの講座を受講しました。色選びの勉強になるのは勿論、厚塗りでの形の取り方も参考になります。
「観察」と「課題の発見」を意識しつつも、気楽に取り組みましょう。いろんなものを描くことは、表現の引き出しを増やすことにも繋がります。
疲れてしまったら、思いきって「休む」
いろいろ試してみたけれど、それでもやっぱりピンとこなくて、何を描けばいいのかわからない。
何故かすごくペンが重いし、何をやっても自分の創作に満足できない……
もしかしたらその原因は、技術不足ではなく「心身の疲労」なのかもしれません。
疲れていると十分にパフォーマンスを発揮できないのは勿論、自分の「描きたいもの」「表現したいもの」が見えなくなってしまうこともあります。
「もっと練習しなきゃ……」「上手くならなきゃ……!」という焦りが空回りしていると感じたら、思い切って「描くこと自体をお休み」しましょう。
無理に描くよりも、そのほうが結果的に上達への近道になる場合があるからです 。
「描かない日」を作ることは、上達のための戦略
「1日でもサボると下手になる」という強迫観念を持つ人もいますが、数日休んだ程度で下手になることはありません。
むしろ、上達し続けるためには、意識的に「描かない日」を作ったほうがいい!
以下の3つが、その理由として挙げられます。
1. インプットの補給
知識や経験のインプットは、車のガソリンのようなもの。
絵を描くこと(アウトプット)は車を走らせるように、自分の中にある知識や感動を消費する作業です。
補給なしに走り続ければ、いつか「アイデア」や「表現への熱量」が枯渇して、描けなくなってしまいます。
2. パフォーマンスの回復
疲労した状態での練習は、集中力が続かず効率が低下します。
万全の状態に戻すことで、同じ1時間の練習でも吸収率が段違いになります。
3. 「燃え尽き」の回避
最も恐れるべきは、無理をして描き続けた結果、絵を描くこと自体が嫌いになってしまうことです。
描くことが「ただの苦痛」になると上達からは遠のいてしまいますし、最悪、筆を折ってしまうと、元も子もありません。
長く描き続けるためにも、心を守る休息は不可欠な「メンテナンス」といえます。
筋トレでも、筋肉の修復のための休息日を設けますよね。絵の練習も同じ。「休むのも練習のうち」です。
罪悪感なし!オススメの「描かない日の過ごし方」
では、ペンを置いている間は何をすればいいのでしょうか?オススメのアクションを紹介します。
心の栄養補給
読書、映画鑑賞、ゲーム、アニメなど、好きなコンテンツを純粋に楽しんでください。
「楽しさ」を優先することで、「こういう表現が好きだったんだ」という方向性を再確認できることもあります。
物理的なセルフケア
とにかく寝る、散歩をする、美味しいものを食べる……
「身体の調子が良い」というだけで、創作意欲が湧いてくることはよくあります。
環境の整備
部屋の掃除、デスクトップや資料フォルダの整理、ペンタブの芯の交換など。
「いつでも描き出せる状態」を整えておくと、休み明けのスタートがスムーズです。
もし、ただの「一時的な疲れ」以上のものかも……という気がする方は、以下の記事も参考にしてみてください。


筆が進まない原因は、「絵を描く以前」の部分にあるかも!?作業環境・フィジカル・メンタルの3つの視点から、見直したいポイントと対処法を解説しています。
好きなものを見て「これいいな」と心が動けば、自然と「描きたい!」という欲求も戻ってきます。焦らず、まずは自分を楽しませてあげましょう!
自分の「描きたいもの」が明確になれば、そのイメージを形にするために必要な「課題」も、よりはっきり見えてきますよ。
まとめ:自分だけの「次の一歩」を見極めることが、上達への近道
今回は、練習選びに迷った時のヒントとして、以下の6つの方法を紹介しました。
- 作品を完成させて、現状を言語化し分析してみる
- 「好きな絵柄の入門書」の内容を真似てみる
- 「憧れのイラスト」と見比べてみる
- プロの添削を受けてみる
- 普段描かないモチーフを描いてみる
- 思い切って「描くこと自体を休む」
目指すゴールや得意・不得意は人それぞれ。だからこそ、絵の上達に「これさえやれば誰でも最短で上手くなる」という、万人に共通する練習法や決まった順番はありません。
大切なのは、自分の目標をしっかりと見定め、分析と実践を繰り返しながら「今の自分に必要な課題」を一つずつクリアしていくことです。
「課題を全部潰してしまったら、もうやることがなくなるんじゃ……」と不安に思うなら、その心配は無用。
上達すればするほど、以前の自分には見えなかった「より高いレベルの課題」が自然と見えてくるようになるからです。
課題が見つかるということは、あなたが「次のステップ」に進む準備ができた証拠でもあります。
練習選びに迷った時は、ぜひこの記事を読み返して、今の自分に一番しっくりくる方法を試してみてください。
「どうすればもっと良くなるか?」と考え、正解を探している今のあなたは、すでに上達のサイクルの中にいます。
あなたの努力が、一歩ずつ理想の絵に近づいていくことを応援しています!





