「描けない」の本当の理由、絵じゃないかもしれません!まず見直すべき3つのこと

描けないのは、技術のせいだけじゃないのかもしれない。

こんにちは、管理人の冬鈴みちです。

スランプで絵が描けなくなったとき、多くの人は「感覚に技術が追いつかなくなったのでは」と考えがちです。

実際によく紹介されている「スランプ脱却法」も、「とにかく描き続けよう」というものが多いですよね。

でも、本当にそれだけでしょうか?

もし「意外な要因」を見落としていたら、描き続けること自体がかえって自分を追い詰めてしまうかもしれません。

そこでまず見直してほしいのが、「作業環境」「フィジカル」「メンタル」——絵を描く以前の土台の部分です。

私自身、これらの問題に気づかず長い間スランプをこじらせ、「どれだけ描いてもつらいまま」だった経験があります。

この記事ではそんな実体験を交えながら、描けない原因を見つめ直すためのチェックポイントや考え方をご紹介します。

「描けない理由が、自分の外側にあった」と気づけたら、きっと心が少し軽くなるはずです。

目次

1. 作業環境を整える——描きやすさは「道具と環境」で変わる!

絵描き界隈ではなんとなく「描けないのを道具や環境のせいにするのは甘え」みたいな空気を感じることもありますが、そんなことはありません!

過去の自分を振り返ったり絵描き仲間の様子を観察したりしていると、「作業環境に問題はないのに道具や環境のせいにしている」ことよりも、「本当に作業環境に問題がある」ケースのほうが多いように感じるからです。

まずは作業環境を見直し、できるところからデスク周りやツールを整えて、描くストレスを減らしていきましょう。

カヴァリエール

描くにあたっての「ストレス源」が道具や環境にないか、現状把握からしていきましょう。

ペンタブレットの設定を見直す

特にデジタルイラストを始めたての初心者は、ペンタブレットの設定が適切でないために、思うように描けなくて挫折というパターンが非常に多いです。

これは板タブを使っていた頃の私の実体験なのですが、

デジタルで描くと、何度描き直しても全然思い通りの線が引けないのはなんでだろう……

と思っていたら、「作業モニターとタブレット作業範囲の縦横比が合っていない」ということがありました。

モニターとタブレットで縦横比が合っていないと、入力と出力が一致しません。
再現するとこんな感じ。モニターがタブレットより横長だと、縦方向が縮小されて出力されてしまいます。

板タブの場合はマッピングの縦横比を保持にチェックが入っているか、まず確認してみてください。入っていない場合はチェックを入れましょう。

これだけで、劇的に描きやすくなる場合があります。

ワコムタブレットのプロパティで「縦横比を保持」をチェック
ワコムのタブレットであればプロパティのこの部分です(一例)

他にも見直したいポイントは、以下の通り。

  • ペンの筆圧感度設定
  • ペン芯の状態(摩耗していれば交換)
  • ペンタブレットとペン先の摩擦(ペン芯の素材や専用フィルムなどで調節)
  • ショートカットボタンの設定
  • モニターと板タブのサイズ比
  • 板タブは画面に対して平行に配置されているか
  • 液タブの輝度/色合い設定

こうした調整ポイントについては、別記事で詳しくご紹介する予定です。

三千花

タブレットの配置が画面に対して斜めになっていたせいで、線が歪んでいたことも実際にありました……。初歩的ですが意外と見落としがちです。

デスク周りの作業環境を整える

作業に集中できる環境が整っているかどうかも、とても大事です。

負担のかかる体勢で無理して作業していませんか?

集中を妨げるものが周囲に散らばっていませんか?

是非デスク周りを見直して、作業環境を改善してみてください。

  • 机と椅子の高さ
  • ペンタブレットやモニターのセッティング
  • すぐ作業に取り掛かれる状態にあるか
  • よく使うものは取り出しやすい場所に収納されているか
  • 作業の邪魔になるもの、気を逸らすものを置きっぱなしにしていないか
  • 照明(画面に照明や窓の光が反射していないか、部屋が暗すぎないか)
  • 音(周囲の雑音や作業BGMが集中の妨げになっていないか)

ちなみに私は一時期、アナログからデジタルに作業を切り替える度にデスクの隅によけていたノートPCを数分かけてセッティングして……という、超めんどくさいことをしていました。

当然、ノートPCを起動するのが億劫でほとんど絵を描いていませんでした。

カヴァリエール

上達のために描くことを習慣化したいなら、特に「すぐに作業に取り掛かれる環境」は最重要です。

画材・デバイスを変えてみる

「どうしても描きにくい」と感じる場合は、思い切ってツールを変えるのもひとつの手です。

  • 板タブ液タブ
  • デジタルアナログ
  • 他のペイントソフトやブラシ設定に変えてみる
  • 使っていない画材を試してみる

描きやすいツールに出会えると、ストレスが減り、描き始める心理的ハードルもぐっと下がります。

気分転換やマンネリ打破にもなりますよ!

たとえば私は、板タブから液タブに切り替えたことで、デジタルでも直感的にラフが描けるようになり、かなりの時短になりました。

三千花

「弘法筆を選ばず」とはいいますが、初心者こそ「使いやすさ」にこだわるのが大事ですよ。

2. フィジカルの問題——体が描けない原因になっていないか?

「思うように線が引けない」「描くだけで苦しい」「なんとなくやる気が出ない」という時に意外と見落としがちな原因が、「フィジカルの問題」

体の使い方の癖や生活の乱れにより本来のパフォーマンスを発揮できなくなっている、そもそも絵を描けるコンディションじゃない……

実は、体の問題に気付かず「技術不足」や「気持ちの問題」だと勘違いし、ドツボにはまるケースは少なくありません(私自身もそうでした)。

対処せずに無理して続けても余計に体を壊して負のスパイラルに陥ってしまうので、今一度自分の体の状態や生活習慣を見直し、最優先で改善に取り組みましょう。

カヴァリエール

遠回りのようで面倒かもしれませんが、実はこれが創作活動を続けるにあたって最も大切なことです。

姿勢とペンの持ち方を見直す

描く時の姿勢とペンの持ち方によって、体に負担がかかったり線が歪んだりしていることもよくあります。

負荷がかかって疲れやすいだけでなく、たとえば姿勢の悪さから顔が紙面に近すぎたり斜めから見ながら描いていたりすると「絵を引きで見ると歪んでいる・全体のバランスがとれていない」ことが起こりやすいですし、ペンの持ち方の癖によって指の動きが制限され「思い通りの線が引けない」場合もあります。

以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 背すじは自然に伸びているか
  • 肩の力は抜けているか
  • 腕は自由に動かせる状態にあるか
  • 顔を紙面に近づけすぎていないか
  • 足の裏は床についているか
  • ペンは指先でホールドできているか
  • 指や手首に力が入っていないか
  • ペンを強く握り込んでいないか
  • 体のどこかに痛みは出ていないか

正しい姿勢と持ち方はこのサイトがわかりやすいです。

NG例として紹介されている「握り込む」スタイルはペンがぶれにくく正確な線を描きやすいので、実はプロのイラストレーターにもこのような持ち方をしている方は多い(中には推奨している方もいる)のですが……私としてはおすすめしません

指先の可動域が狭く余計な力も入りやすいので、長時間描くと疲れやすく手や腕を痛めてしまうからです。

細かい部分や長いストロークを描くときは正確に描きやすい反面、手元が見えにくく姿勢が崩れやすいという欠点もあります。また、指や手首での描画がしにくく、絵がこぢんまりとまとまってしまうことも。

たとえまだ大きな不具合を感じていなくても、早めに「疲れやすい持ち方の癖」を矯正しておく。

これは今後長く絵を描き続けることにも繋がります。

カヴァリエール

上手く描けないプレッシャーの中で「握り込む」持ち方を続けていた結果、ペンを折りそうなくらい力を込めすぎて1日30分も描けなくなるほど手を痛めてしまう、なんてこともあります。

三千花

管理人の実話なんですけどね……

ペンを持つイラスト
このイラストの持ち方は比較的理想に近いかもしれません。

生活習慣を見直し、体調を整える

作業環境やメンタル面の悩みに特に心当たりはないのに気力が湧かない、疲れやすい、何故か体が動かない……という場合は、「セルフメンテナンス」がおろそかになっているせいかもしれません。

  • 体の不調や違和感を放置していないか
  • 睡眠や休息は十分に取れているか
  • 食生活の乱れで栄養が偏っていないか
  • 運動不足になっていないか
  • 生活リズムは不規則になっていないか

心当たりがあれば生活習慣を改善し、体の不調は専門家に相談しましょう。

かつては何も意識しない生活を送っていた私ですが、規則正しい生活と運動を習慣にしてからは、明らかに疲れにくくなり「やる気が出ない」日も減りました。作業のパフォーマンスも上がります。

ついつい「技術的な解決法」や「モチベーションの上げ方」にばかり目が向いてしまいがちですが、それ以前に「健康」がなければ何もできません。

良い作品を作り続けるためにも、意識的にセルフメンテナンスを行っておきたいです。

三千花

創作は意外と体力勝負、特に「運動」は積極的に習慣に取り入れていきたいですね!

3. メンタルの問題——「絵の悩み」の正体は、絵と無関係なことかもしれない

作業環境、フィジカル、そしてようやく3つ目の「絵を描く前に見直してほしいこと」こそ、「メンタルの問題」です。

ここで重要なのは、「悩みを掘り下げて丁寧に分析してみる」こと。

実は絵を描くこととは直接関係のないことで悩んでいたり、無意識の思考の癖によってこじらせループに陥っていたりすることに気付く場合があります。

自分の悩みの本質を見つけ出し、「絵以外の問題」を「絵の課題」から切り離して対処することが大切です。

三千花

「悩み」が複雑なままだと、見当違いな努力をして空回りしがちです……

絵とは関係ないストレスや悩みがないか

ひとまとめに「メンタルの問題」といっても、創作がうまくいかない悩みやその原因は様々。

しかも、「ただ絵を描けば解決するわけではない問題」のほうがずっと多いです。

たとえば「モチベーション」に関するよくある悩み

  • やる気が出ない
  • やる気だけが空回りして何も完成しない
  • 描くのが楽しくない
  • 描きたいものがない

これらにも、以下のように要因はいろいろあります。

  • 人間関係のストレスによる消耗
  • 情報過多による脳疲労
  • 将来への不安
  • 成長が実感できない
  • 「他者からの評価」への依存
  • 「高すぎる理想や目標」からのプレッシャーや挫折感
  • 「自分が本当にやりたいこと」から本質の外れたことをしている
  • インプット不足
  • マンネリズムや飽き
  • 「心の栄養」の枯渇

自分の悩みの原因は何なのか分析し、それぞれに合った対処をすることが解決の鍵です。

まずは悩みや不安を片っ端から紙に書き出してみると、思考が整理され対処法も見えてきやすくなります。

ぜひ試してみてください。

カヴァリエール

表面的な悩みの裏には、実は「生きづらさ」や「疲れ」が隠れていることもあります。

※何が要因となっているかで対処法は大きく異なるので、各詳細は後の記事に譲ることにします。

「SNS疲れ」に心当たりはないか

最近は、「SNSに起因する悩み」に心当たりがある人も少なくないのではないでしょうか。

Xを始めとしたSNSは便利ですが、とにかくクリエイターを消耗させる要素が多いです。

もし何か心当たりがあれば、思い切って「SNSをやめてみる」ことも考えましょう。

カヴァリエール

実際、たくさん悩みがあったはずが「Xをやめたら全部解決した」というケースもあるくらいです。

私はXをほとんど見なくなって3年経ちますが、X(当時はTwitter)に入り浸っていた頃よりずっと自分の創作に集中できるようになりましたし、漠然とした不安に襲われたり落ち込んだりすることもほぼなくなりました。

「自分に根気がない」のではなく、実は流れてくる大量の情報で脳がキャパオーバーになっていたんだな、と今なら思います。

一例として「情報過多による脳疲労」を挙げましたが、それに加えてプレッシャー・インプットの偏り・自己否定など、複合的な原因が絡んでいることも少なくありません。

より踏み込んだ内容は、また別の記事にて語っています。

もちろん、「そんなに簡単にやめられたら苦労しない」と感じる方もいると思います。

でも、とりあえず一日ログインせず過ごしてみるだけでも、思わぬ気付きや変化があるかもしれません。

三千花

たまにはデジタルツールから離れて外で体を動かしたり自然に触れたりするのも、良いリフレッシュになります。

「こうあるべき」に縛られていないか

絵を描くのがつらいとき、こんな「ねばならない」思考にとらわれていませんか?

  • 毎日描かなければならない
  • 全ての作品を完璧に仕上げなければならない
  • 他人に求められるものを描かなければならない
  • 描いた絵は誰かに見せないと意味がない
  • デッサンが狂ってはいけない
  • 「上手い絵」しか公開してはいけない
  • 「失敗作」を作ってはいけない
  • プロを目指さなけばならない(プロ並みに上手くならなければならない)

「絵が上手くなりたい」という思いが強いほど、知らず知らずのうちにこの考えに縛られてしまいがちなのですが……

冷静に考えてください。これら全部、趣味で絵を描く限りは全く必要ありません!

たとえ「いや、自分は本気でプロのイラストレーターになりたいんだ!」という場合でも、このようなストイックすぎる考えで自分を追い込むのは、とても危険です。

初めから失敗なく上手く描けるなんてことはまずありませんし、「楽しさ」をないがしろにして義務感や切迫感で描き続けても、いつか限界が来てしまいます。

それに、「デッサンの正確さ」や「周囲の期待や評価」ばかり気にして描いた絵は、作者の信念やこだわりの感じられない「上手いだけの絵」になっていることも。

これでは見た人の心を動かせないですし、自分でも描いていて虚しいです。

カヴァリエール

技術的な巧拙を問わず、「とにかく『上手い』と言われたいんだな」という絵は、見る側からも下心がバレます。

それでも「上手く描くことへのこだわりを捨てられない」というときは、「心の栄養」の枯渇により“熱意”や“絵を通して伝えたいもの”が失われ、いつの間にか「正しく整った絵」を描くことにすがっている場合もあります。

少し極端な例かもしれませんが、私自身

綺麗で完璧な「上手い絵」を追求するのは当たり前でしょう?私の絵から「ちょっとばかりの上手さ」すら奪ってしまったら、何が残るの!?

……と、「綺麗な以外に何もない」コンプレックスを何年もこじらせていたことがあります。

もはや「上手いと思われる絵を描くこと」だけが、自分の価値を証明する手段になってしまっていたのです。

ここまでこじらせてしまったら、一旦絵を描くことは忘れて「絵以外に自信を持てること」と「心から表現したいもの」が見つかるまで別の趣味に打ち込むのが、一番の対処法なのかもしれません。

カヴァリエール

たとえ1年くらい描かなかったとしても、復帰不能なほど下手になることもありません。充電期間と思って自愛しましょう。

染み付いたマインドをすぐに変えることは難しいですが、もし「~すべき」「こうあるべき」という考えが浮かんだら、まずは「何故?」「本当に?」と自分に問いかけるところからやってみてください。

三千花

心の土台が整えば、きっとまた自然に描ける日がやってきます。焦らなくても大丈夫です!

「上手い絵を描く」にとらわれてつらくなった時にオススメの練習はこちら。

おわりに:描けないときほど、絵から離れた部分を見直して

今回は、「絵を描く以前の土台の問題」として

作業環境」「フィジカル」「メンタルの3つの要因について解説しました。

描くことに意識が集中していると、こうした要素はどうしても見落としがちです。

でも、実はそうした“絵とは直接関係のない部分”にこそ、スランプの原因が潜んでいることも多いのです。

こうした視点を持っておくだけでも、不調から抜け出すまでの遠回りを防げるかもしれません。

「スランプかな?」と感じたときには、まずは技術以外の要素に目を向けて、

自分の状態をやさしく振り返ってみてください。

絵から離れて見えてくるものが、次に描く絵をもっと自由にしてくれますよ。

体験談ベースで「こじらせた管理人の復活プロセス」を読みたい方は、こちらの記事も併せてどうぞ。

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